男の“コレ”はこれ“アレ”はあれの極まれり素敵か
●【帝一の國】素敵かよ
(とんでもない事を本人達は至って真面目に真剣に、そして情熱をもってやっているコミカルの極みに脱帽)
昨日は友人ゾノさん(既婚者)と温泉に一時間程つかり、そのまま温泉施設で爆睡するというダラダラの至福のひとときを過ごしました。
まぁ、そんなことよりですよ。
そんなことより。
本屋さんで友人、ゾノさんが「何か漫画買おう〜」と、一切買いたい漫画などないのに何かしらのコミックスを買うことだけを明確な目的として本屋を何周もし始めまして。
でも、そんなんだから欲しい本なんて結局見つからないわけで。
なのに、それでも漫画を買おうという軸だけはブレずに何かを買おうと必死になるという、私にとっては中々の謎行動をとり続けるんですよ、彼女。
結果、何故か何故か『後妻業の女』を買おうとしておりましてね。
(映画になってましたもんね)
いや、この漫画の良し悪しや是非を問うてるのではないのです。
彼女の『欲しいのなかったからこれでいいや』という、謎のヴェールに包まれた諦めのと投げやりさの中にある購買欲を、そんな明らかに欲しいと思ってないものに使って欲しくない。
……私はどうせなら、そう!クズだしゲスだけど、どうせなら私が常々気になってた漫画を買えば、とりあえずは私が嬉しいではないか!そう、思ったわけです。
私のそんなとんでもないゲス心で勧めた漫画がタイトルで素敵素敵とのたまっていた【帝一の國】なのでした。
しかも、彼女一気に2巻買っておりました。
※蛇足
ゾノさんは以前も同じようなノリで突然『ペコロスの母に会いに行く』を購入したりしていました。
●ドトールで手渡された購入されたばかりの漫画を、私は
そのまま立ち寄ったドトールで、ゾノさんは購入したばかりの漫画を袋のまま私に手渡し「読めば?」と言い、自分はスマホゲームをしはじめました。懐が広いのか、なんなのか、未だに私にはわかりません。
で、そのドトールで私は一気に2巻まで読んで心底思ったのでした。
自分で買えばよかった。
素敵かよ〜素敵かよ〜。
主人公の帝一まじでなんなんだよ〜。必死に権力者の犬になろうとしつつ、権力を求める野望と野心の塊で他者に対して疑心暗鬼なのに、恋人(みみこ)と糸電話して心の安らぎを得たり、周りは皆敵!と言いつつ腹心の部下的ポジションの親友は心の底から全幅の信頼を置いてるってなんなんだよ〜。疑心暗鬼と純粋を兼ね備えんなよ〜心底応援したくなるだろうがもう〜。
(作風全体がレトロなのに糸電話を真面目するという描写がコミカルに浮き上がってきてこういうの私好きすぎるわ〜)
みみこが他の男に倒れそうになった所を抱きとめられているシーンを見て勘違いした時の帝一の嫉妬に狂ったシーンが狂気を感じる程般若なのに、やってることは「僕だって抱擁したことないのに!」という般若の中の純真さが際立って私は思わずスマホゲームをしているゾノさんを呼び止めたわ〜。迷惑そうだったわ〜。
今更ですけど【帝一の國】の簡単なあらまし。
昭和の名門男子校を舞台に、実際の政界さながらに行われる、生徒会会長の座をめぐる派閥闘争を描いた作品。
(pixiv概要より)
だそうです。
主人公の帝一はその男子高校で生徒会長を目指し、果ては日本のトップに立つことを夢見ているのです。ジャンプでないようで、芯のところはきちんとジャンプの漫画であろうという漫画。
(左:主人公、帝一 右:親友、光明)
まだ2巻ぽっちしか読んでいないので何だか先を考えて、帝一の未来に不安ばかりが過ぎります。
帝一は努力の野心家なので人望も時間をかけて集めているのですが、そこに現れる天性のカリスマ性を持った野心のないライバル。(良い奴)
こいつが怖いのです帝一の足元を脅かすのですこわい(完璧に帝一に感情移入し過ぎ)
みみこが2巻で惚れそうになってるのが、そのライバルの男の子なんですが、お願いだからみみこには帝一の側に居て欲しい。
正直、恋人みみこが一番常識人だしなんか私も帝一目線でお話を追いかけ過ぎて、みみこ大好きなのでお願いだから帝一をお願いといいたい。
そして、みみこよりより帝一を裏切らないで!お願い!と必死にお願いしたいのが、腹心部下であり親友であり帝一が全幅の信頼をおく光明。
(光明も常に帝一の味方でその言動に一切ブレがないのですが、だからこそ怖いのです)
こいうこ!裏切りがち!!
しかもゾノさんによるとこの作者さんの前作でも、この光明みたいな『主人公大好き!ぼくだけは主人公の味方だよ!』というキャラが裏切ったという情報を聞いて、戦々恐々としております。
前述した通り、帝一は努力でこつこつのし上がっている野心の塊で疑心暗鬼な純粋少年なので、みみこと光明に離れていかれたら、この相反する2つのポテンシャルが完璧に野心のみの疑心暗鬼になってしまう。
それが可哀想だし、DEATH NOTEの月みたいなラストはいやです。
そして、この帝一の昭和の男!感が私は好きでした。家庭を省みず社会の荒波にのまれて生きているけれど、妻のことは愛している。でも、やっぱそれとこれとは別だよね!という潔いまでの自分勝手な生き様。
戦いに巻き込まれた恋人みみこを心配しつつも「まだ戦いは終っていない。一人で帰ってくれ」と後ろ髪引かれる思いで突き放しつつ、次のページでは、親友の光明に対し「お前を絶対に守ると約束したのに、恋人を前にして我を失ってしまった。すまない」と拳を握る、帝一のコレはこれ、アレはあれ感が凄まじく好きでした。
仕事は仕事、家庭は家庭!
男は権力に生きねばならぬ!戦わねばならぬ!だから、みみこだけは俺の安らぎでいてくれ!お前だけが俺の心の安らぎなんだ!でも仕事あるから一人でかえってくれ!俺は明光と一緒にいくから!
という。自分勝手で純粋なジャンプの主人公、帝一をどうか、よろしくお願いします。
映画ぜったい見にいく。