お隣さんと鬼滅の刃
●鬼滅の刃って知ってますか
(人気があるみたいなんですけど)
こんにちは。
オタクのハイジです(なんなん)
アニメも漫画もゲームも大好きです。
今は夫とメイドインアビスを見たり、ペルソナシリーズプレイしたりしてます。
そう、大人になって公の場、こと職場や新しい人間関係でアニメや漫画の話って全くしなくなりました。
前はどことなくそういうのが好きって人じゃないと、本当の意味で仲良くなれないだろなって壁が私の中にありました。
だから、婚活もオタク婚活だった。
隙あらば「“そういうの”好きかな?好きかな?」ってチラチラ相手を見てる感じ。
けれど、今はそのオタク的ツールがなくても全然平気になりました。
多分、あれ、あれだ。夫がオタクだから。
毎日ごはん食べながらアニメ見たり、休みの日にゲームしてるの見たりしてるせいで“そういう部分”の感情が満たされてるせい。
だからお外の人間関係にソレを求めなくても良くなったんだろうと思います。
で、今度は少し変わって職場の話。
私、今の職場とても好きでですね。
仕事内容もそこそこ私好きですし。
事務仕事&接客の5050。丁度良き。
あと、周りの人達が本当に良い人揃いで。
びっくりするほどみんな性格がバラバラのに、全員良い奴なの。これ、友達連れてきて皆に見せびらかしたいくらい素敵で良い人たちで溢れてる。
世界は愛であふれてる(なんなん)
で、その中でも一際良い人で、しかも美人さんが私のデスクのお隣でしてね。
※まあ、通称名がないと話し辛いので彼女の事は、これから“あゆみさん”にします。
(別に似てないけど私の美人の代名詞はこの人)
【あゆみさんプロフィール】
海外で暮らしていた経験があり
英語がペラペラ
夫婦でマラソン大会に出場する
スタイル良い
猫ちゃんが好き
少し天然
たまに目を見張ることをしてたりするから飽きない(ゴミ箱あさったり)
そして大事なのが、間違っても漫画もアニメも一切通ってきてないということ(重要)
まあ、わかるわ。
そんな、あゆみさんと昼ごはんを食べながら少しだけゾノさんの話をしました。
友達が新築の家で趣味部屋を一部屋作り、そこに大量の漫画とフィギュア等を置くこと。
私はそれを面白くて羨ましいって思ってること。
そして、なんやかんやと昼休みは終わり仕事の時間になった時、あゆみさんがソワソワしながら私に言ったんです。
「はいじさん、あの。漫画とかって読まれますか?」
「はい、ぜんぜん読みますよ〜」
「あの、鬼滅の刃って知ってますか。とても人気のまんがなんですけど」
「…………」
ここで60歳のベテランさんが「なあに?秘密の刃?なんねそれは少女漫画ね?」と言って割り込んで来たことは割愛する。
私は特に無理にオタクである事を隠している訳ではないので、全然いいんですけど、まさかあゆみさんの口から【鬼滅の刃】が出てくるとは思わなくて( ⌳̈ )って顔になったの。
「すごく面白くて本屋さんに電話して漫画をぜんぶくださいって言ったんです。けど7巻と18巻がなくって。ネットでもなくって」
あぁ、こういう人達が鬼滅の刃の本の売上を爆上げしてるんだなと思いつつ、私が立寄った本屋では普通に全巻あったのでソレを教えてあげました。
「そんな……そんな近くに。私は、あんまり無いから実家に居る妹に買うように頼んだんです」
まじか。本気だ。
「全部揃って一気に読むのが楽しみでしかたないんです。はいじさん“はしら”って知ってますか。どうやら、たくさん死ぬみたいなんです。全部揃ってしか読んじゃだめだから、ネットで調べたら死ぬ人達が全部書いてあってショックでした。本当にびっくり」
「なんでそんな読み方するの!!!??」
思わず仕事中にさけんだわ。
楽しみとっておいてるのになんでそんな純粋な顔でネットで調べちゃうの!?
ネットの海はね?時に調べなくても不意にネタバレの津波が押し寄せてくる恐ろしい海なんだからね!!!
調べたらバンバン調べた以上のことが入って来るでしょうが!!ばんばん!
と、漫画とか通ってこなかったが故の彼女の漫画との慣れない距離感がヒシヒシと伝わってくるから机バンバン出来ない。
もどかしい。
「私が旦那さんに一緒に買おうって言ったのに、旦那さんは乗る気じゃないから私一人で集めたんです。そしたら昨日旦那さんから3000円払うから読んでいい?って言われました。にこ」
「(まぶしい夫婦だな)あー、うちの夫はジャンプで立ち読みしちゃう系の野郎なもので……」
「なるほど、ということは。それは……漫画よりも先の方の話があるってことですね」
「ふうむ」
オタクというか、オタクでなくとも漫画を、読んできた経験がある人なら誰しも分かるコミックスの前提(本誌連載物がある程度溜まったものが1冊のコミックスとなる)が、あゆみさんには一切前提としてない事が興味深過ぎたし、漫画読まない人にはそうだよな……と、隣のデスクの人で深めのカルチャーショックを受けたのが無性に面白かった。
というか、まじであゆみさんは漫画を一欠片も読んだ経験がないんだなと改めて思い知った。
「あの、はいじさん教えて欲しいんですけど」
「なんですか」
「アニメの続きはどこにありますか?途中で終わってるみたいだから、きっと私の知らないところで続きがあるのかなって」
「大丈夫です。あのめちゃくちゃ中途半端なのがまじの今の所のアニメのラストですよ」
ここまでくるとあゆみさんのアニメ前提も予測できてたので驚きませんよ。
そうですよね、多分何気なくHuluにあった鬼滅の刃を見たのが始まりだから、本当はもっと続きがあると思っちゃうよね。
1クールが何話で、更には分割2クールなんて言葉知らないよね。
終わる時はきちんとお話が終わる時っておもうよね。
終わらせない前提のアニメ化なんて思いもよらないよね。
「続きは映画でやるみたいですよ」
「えいが……?アニメの続きなのに映画館で?なんでだろう」
ほんとうにね!
お金になるからだろうね!
そのあたりで、さすがに、仕事しないと!とお仕事に戻ったのですが、どうもお腹の下の方が、くすくすと擽ったい気持ちが止まりませんでした。
私の当たり前が他人にとっては当たり前じゃないんだということを、こんな隣のデスクの人との会話で改めて実感させてくれるなんて。異国の人に対するカルチャーショック並み。
あと、こんなあゆみさんみたいな人にまでめちゃくちゃ刺さる鬼滅の刃って一体なんなん?と、心の底から疑問符の嵐なので(いや、面白いの分かるけれども!)来週あたり、もう少しそのあたりを掘り下げて聞いてみようと思います。
そして、少しだけこの会話の後日談を載せるとすると、あそこの本屋全巻ありましたよ?と伝えたその日、あゆみさんは早速、その本屋に行ったそうです。
「ハイジさんの言うとおり、全巻ありました!これで全部手に入りました!……けど、買ったあと妹からも買ったよってLineが来て……2冊になってしまいました」
なんで買う時に連絡しないの……?
漫画を通ってこなかったあゆみさんの、鬼滅の刃への熱を今後も探索してゆきます。
大人になって職場で漫画の話ができるって、なんかお腹の中がくすくすするくらい面白いのね。